フクロモモンガって食べちゃいけないものある?なんで食べちゃだめなの?ちょっとくらいいいんじゃない?
そんな疑問にお答えします。
今回はフクロモモンガが食べてはいけないもの、その理由について詳しく解説します。
- フクロモモンガに与えてはいけない食材
- 与えてはいけない理由、原因となる成分
- 与えた場合、どういった症状がおこるのか
フクロモモンガの食べてはいけないものについて書籍で調べると
- 与えてはいけない食材は何か
しか分かりませんが、この記事では
- 与えてはいけない原因(成分)は何か?
- 与えてしまうとどうなるのか?
という詳しいところまで分かりますよ!
基本的には書籍の情報と、ネットの獣医師/薬剤店の発信情報を元に纏めた内容なので、みなさんの参考になるはずです!
- この記事を書いた人
じゃあ何を食べさせるのか?食事の基本をまとめました
フクロモモンガが食べてはいけないものリスト
今回僕がご紹介する食材をリストにまとめました。
ざっくり3つのカテゴリーに分類しています。
これら食材について、詳しく解説していきますね。
カテゴリ | 食べてはいけないもの | (成分) | 理由症状例 |
野菜 | ネギ類 (玉ねぎ、長ネギ等) | 有機チオ硫酸化合物 | 貧血 |
じゃがいもの芽と緑色の皮 | ソラニン チャコニン | 神経麻痺 胃腸障害 | |
アボカド | ペルシン | おう吐、下痢 | |
トマトのヘタと茎 | トマシン | おう吐、下痢 | |
生の大豆 | プロテアーゼインヒビター アミラーゼインヒビター レクチン | おう吐、下痢 | |
※ほうれん草 | シュウ酸 | 代謝性骨疾患 | |
※とうもろこし | リン | 代謝性骨疾患 | |
果物 | バラ科サクラ属の熟れていない果実や種 (サクランボ、モモ等) | アミグダリン | おう吐 神経障害 |
※柑橘類 | ? | ? | |
※ブドウ | ? | ? | |
その他 | ピーナッツの殻のカビ | アフラトキシン | おう吐、下痢 |
牛乳 | 乳糖 | 下痢 | |
生肉と生卵 | サルモネラ菌 | おう吐、下痢 | |
チョコやお菓子、コーラなど | テオブロミン | おう吐、下痢 |
食べすぎに注意すべきものについては、こめじるし(※)を付けていますよ。
フクロモモンガが食べてはいけない野菜
まずは、食べてはいけない野菜について解説します。
食べてはいけない野菜
順番に説明していきますね。
ネギ類(玉ねぎ、長ネギ、にら、にんにく等)
ネギ類を食べてはいけない理由は、ネギ類に含まれる「有機チオ硫酸化合物」という成分です。
人間は「有機チオ硫酸化合物」を消化する酵素を保有しているので消化ができます。
しかし犬や猫など一部動物は、この酵素を体内に保有していません。
消化できなかった「有機チオ硫酸化合物」は赤血球のヘモグロビンを酸化する作用を持ち、赤血球が血管内で破裂しやすくなるんです。
そして赤血球の破裂が繰り返されることで、赤血球の数が減少、貧血を引き起こしてしまうと言われています。
ちなみに、書籍:フクロモモンガ完全飼育では「アリルプロピルジスルファイド」という成分が貧血の原因と書かれていました。
一方で薬を取り扱っているサイトを調べると、
少し前までは『アリルプロピルジスルフィド』が中毒を引き起こす原因であるとされていましたが、近年、研究が進むことで、本当は『有機チオ硫酸化合物』が中毒の原因ということが判明しました。
ぽちたま薬局スタッフブログより抜粋
などという記述があり、他のサイトでも同様の記述を確認しました。
ですので『有機チオ硫酸化合物』が原因としては正しいと僕は考えています。
いずれにしても、ネギ類は貧血の原因となるので与えてはいけません。
じゃがいもの芽と緑色の皮
じゃがいもの芽と、緑色になっている皮を食べてはいけない理由は「ソラニン」や「チャコニン」という成分です。
特にソラニンは有名ですよね。
人間にとっても有毒な成分で、吐き気や下痢、おう吐、腹痛、頭痛、めまいなどの症状が出ます。
フクロモモンガにとっても危険な成分で、神経麻痺や胃腸障害などの中毒症状をひき起こすとされています。
一例ですが、体重が50kgの人では、ソラニンやチャコニンを50mg(0.05g)摂取すると症状が出る可能性があり、150~300mg(0.15~0.3g)摂取すると死に至る可能性があるようです。
アボカド
アボカドを食べてはいけない理由は、「ペルシン」という成分です。
アボカドの果実や種子など、すべての部分に含まれているペルシンは最近発見された成分で、動物への影響についてはまだ完全に解明されていません。
しかし強力な殺菌作用がある毒素だと判明していて、人間以外の動物が食べると中毒症状が表れます。
犬や猫やウサギなど小動物が摂取すると、おう吐や下痢、呼吸困難や心臓不整脈などの症状が見られます。
特にフクロモモンガなどの小動物は、少量でも死に至る場合が多いようですよ。
トマトのヘタと茎
トマトのヘタと茎を食べてはいけない理由は、「トマチン」という成分です。
じゃがいもの芽に含まれるソラニンと似たような成分らしいですね。
症状としては、下痢や嘔吐があると言われています。
トマチンは部位によって含有量が変わるらしくて、トマトの種類などによっても異なりますが、報告されている測定例はこんな感じです。
花(1100mg/kg)
葉(975mg/kg)
茎(896mg/kg)
未熟果実(465mg/kg)
熟した青い果実(48mg/kg)
完熟果実(0.4mg/kg)
一般社団法人 日本植物生理学会より抜粋
花、葉、茎に多く、完熟果実では少なくなっていることが分かりますね。
トマトの花を食べる機会はないと思いますが、少なくともヘタと茎は与えると危険なので注意してください。
ちなみに完熟したトマト自体にもトマチンは含まれていますが、微量なため人間にもフクモモにも影響はほとんどありません。
人が死ぬのに必要なトマトの量は、1日に3〜4トンらしいですよ笑
生の豆
豆と言うのは、例えば大豆や小豆、えんどう豆などですね。
生の豆を食べてはいけない理由は、「プロテアーゼ・インヒビター」「アミラーゼ・インヒビター」「レクチン」という成分です。
インヒビターは、阻害するという意味ですね。
多くの豆類の種子中に、これら成分が含まれており、生食するとプロテアーゼやアミラーゼなどの働きを阻害し、消化不良を起こし下痢や嘔吐といった症状を引き起こします。
豆類はなぜ毒があるのかというと、植物が種の存続の為に動物が自分の種を食べられないようにしているという説があるみたいですね。
ほうれん草(与えすぎ注意)
ほうれん草は、食べすぎに注意すべき野菜です。
ほうれん草の食べ過ぎ注意の理由は、「シュウ酸」という成分です。
シュウ酸はカルシウムの吸収を阻害する働きをするため、過剰に摂取すると骨粗しょう症を引き起こしたり、腎臓や尿路に結石を引き起こしたりする懸念があります。
とうもろこし(与えすぎ注意)
とうもろこしも、ほうれん草と同じく食べすぎに注意すべき野菜です。
とうもろこしの食べ過ぎに注意すべき理由は、「リン」という成分。
5大栄養素の一つであるミネラルのうち、主要成分がカルシウムとリンです。
フクロモモンガに摂取させるカルシウム:リンの割合は1:1~2:1が良いとされています。
つまり、リンの割合は少なめがいいってことですね。
というのも、リンの割合が多すぎるとカルシウムの吸収が上手く出来なくなります。
カルシウムを上手く吸収できないと、成長不良・歩行障害を伴う「くる病」になるリスクが高まります。
そして、トウモロコシは他の野菜や果物と比べてリンの含有率がかなり高いです。
書籍:フクロモモンガ完全飼育の数値を借りると、とうもろこし100gあたりカルシウム3mgに対してリンは100g!
割合で言うと1:33ですね笑
バランスが悪すぎます…
そんなわけで、リンの過剰摂取を避けるためにも、とうもろこしの与えすぎには注意しましょう。
フクロモモンガが食べてはいけない果物
次に、食べてはいけない果物について解説します。
食べてはいけない果物
バラ科サクラ属の熟れていない果実や種
バラ科サクラ属というのは、さくらんぼ、ビワ、桃、杏、梅、すももなどですね。
これらを食べてはいけない理由は、「アミグダリン」という成分です。
バラ科サクラ属の熟れていない果実や種にはこのアミグダリンが含まれており、動物が摂取すると腸内細菌によって分解され、シアン化水素(青酸)を発生させます。
このシアン化水素が、嘔吐や肝障害、神経障害の症状を引き起こします。
だから、熟れていないさくらんぼや桃などの果実と種は、絶対に与えてはいけません。
柑橘類(与えすぎ注意)
その他参考ですが、柑橘類は食べすぎ注意の果物です。
書籍:フクロモモンガ完全飼育や、フクロモモンガ飼育バイブルなどでは、柑橘類は与えすぎると下痢を起こすので注意しましょう、という旨が書かれています。
ですが、柑橘類がフクロモモンガに対して下痢を引き起こす要因は調べても分かりませんでした。
犬や猫に対して有毒な成分があることはわかったんですが、フクロモモンガや小動物に対して有毒な成分の説明は出てこなかったんですよね…
水分量が多いから与えすぎると下痢を起こすってことなのかな?
でもスイカも水分量多そうですしねー。
なので真偽は不明ですが、書籍では与えすぎないように注意喚起あるので、我が家では積極的に与えていません。
ブドウ(与えすぎ注意)
ブドウについてですが、こちらも書籍:フクロモモンガ完全飼育では、
- 犬猫に対して急性腎臓疾患をひき起こすことが知られている
- フクモモではそういった情報はないが、他にいろんな果物があるから、わざわざ与える必要はない
みたいなことが書かれています。
これも色々調べてみたんですが、正直有害かどうか判断できませんでした。
ちなみに我が家では柑橘類と同様に、積極的には与えないようにしています。
フクロモモンガが食べてはいけないその他の食材
最後、与えてはいけないその他の食材についてです。
食べてはいけないその他食材
順番に説明していきますね。
ピーナッツの殻のカビ
まずナッツ類で食べてはいけないものは、ピーナッツの殻のカビです。
ピーナッツ自体は食べることができますが、殻についた黒いカビは危険なんですね。
その理由が、「アフラトキシン」という成分。
正確に言うと、アフラトキシンとはカビの名前ではなく、カビが作り出す毒素の名前です。
このアフラトキシンという毒素は発がん性の高いカビ毒と言われており、他の発がん物質のなかでも最も強力なものとされています。
具体的なフクロモモンガへの影響は調査してもわからなかったのですが、人間に対して肝臓障害を引き起こすとされているものなので、フクモモには与えない方がいいでしょう。
ピーナッツの殻をそのまま与えないように注意して下さいね。
牛乳
次、牛乳です。
牛乳を与えてはいけない理由は、「乳糖(ラクトース)」という成分です。
牛乳を飲んだ時に感じる甘さ、これが乳糖ですね。
人間は乳糖を分解する酵素:ラクターゼを小腸に持っているので、牛乳を摂取することができます。
しかしフクロモモンガはこのラクターゼを持っていないので、乳糖を分解できません。
すると、消化不良を起こし、下痢を起こしてしまう可能性があります。
フクロモモンガには人間が飲む牛乳は与えないにしましょう。
その代わりに、乳糖を調整してあるフクロモモンガ用のミルクを与えてあげてくださいね。
ちなみに牛乳から作られるヨーグルトは、フクロモモンガが食べてOKです。
牛乳はNGなのにヨーグルトはOKな理由、皆さんはご存知ですか?
理由は、ヨーグルトは乳糖が少ないからです。
ヨーグルトは牛乳を乳酸菌で発酵させたもので、発酵過程で乳糖の2〜3割が分解されるため、乳糖による消化不良の影響を受けにくくなっているんです。
生肉と生卵
続いて、生肉と生卵ですね。
生肉と生卵を食べてはいけない理由は、「サルモネラ菌」です。
人間社会でも食中毒の原因として有名なこのサルモネラ菌。
犬・猫をはじめとした小動物でサルモネラ感染症になると、嘔吐、下痢、食欲不振の症状が出てしまいます。
よほど新鮮な生肉・生卵出ないと、サルモネラ菌による懸念は払拭できません。
チョコやお菓子、コーラなど
最後、チョコなどのお菓子や、コーラ、お茶です
こういったものを食べてはいけない理由は、「テオブロミン」という成分です。
テオブロミンは、中枢神経や血管に作用し、人間には集中力や記憶力を高めるなどの効果をもたらします。
一方で犬や猫、小動物は人間のように成分をすばやく分解できず、中毒症状を起こしてしまいます。
テオブロミン中毒のおもな症状は、興奮状態や、嘔吐や下痢、けいれんなど。
摂取量が多い場合は昏睡状態に陥り、最悪の場合、命を落とすこともあります。
ちなみにテオブロミンはカカオの量に比例するので、とくにカカオを多く含むビター系のチョコレートは、ごく少量でも重篤な症状を引き起こす可能性が高くなるらしいです。
人間が飲食するために作られたお菓子や飲み物などは、与えないようにしてくださいね。
さいごに
以上、フクロモモンガが食べてはいけないもの、その理由について細かく解説しました。
今回のテーマでフクモモが食べられないものについて色々情報収集しましたが、本やネットに載っている情報の中で、表現が適切でないもの・間違っているものがあるなぁと感じました。
例えば、ネギ類を食べてはいけない原因の成分が「有機チオ硫酸化合物」と「アリルプロピルジスルファイド」で分かれていたり、牛乳に含まれる成分:乳糖(ラクトース)と、乳糖を分解する酵素:ラクターゼを混同して説明している記事があったりなどですね。
一つの情報だけ見て判断していると、間違ったことを正しいと思い込んでしまう可能性があるので、ぜひ幅広く情報を収集してください。
そのなかで、僕の記事が皆さんの一助になれば嬉しいです。
それでは、良いフクモモライフをー!
じゃあ何を食べさせるのか?食事の基本をまとめました