夏場はフクロモモンガのケージが高温度・高湿度になっちゃうよ…でも我が家には冷房がないんだよなぁ。どうにかして、快適な温度・湿度にしてあげられないかな?
こんなお悩みを解決します。
- 本記事の内容
- ペットボトルで冷房&除湿 原理
- ペットボトルで冷房&除湿 検証方法(レイアウト7案)
- ペットボトルで冷房&除湿 検証結果(温湿度の低減効果)
- ペットボトルで冷房&除湿 おすすめのレイアウト
今回のテーマは、フクロモモンガ飼育に必須な、夏場の気温と湿度の対策について。
ペットボトルでフクモモケージを冷房・除湿する方法について解説します。
この動画を作るきっかけは、Twitterのフォロワーさん「白いしっぽのフクロモモンガ りあちゃん」さん(以降、りあちゃんパパさん)のこんな投稿でした。
つまり、凍らせたペットボトルをケージに入れると冷房代わりになる、というもの。
これを見て僕はいろいろ疑問に思ったんです。
これ本当に効果あるのかな?アクリルケージに金網を設置しても効果あるのかな?金網ケージでも効果あるのかな?
そこで、我が家で実際にいろいろなレイアウトで検証を行い、分かったことを紹介していきます。
もちろん夏場は冷房の効いた部屋にフクモモをおいてあげるのがベストですが、エアコンが壊れてしまったり、暑い場所で一時的に避難させる必要がある場合に役立つ内容なので、よかったら参考にしてください。
結論:凍らせたペットボトルは冷房代わりになる!
まず結論から言いますね。
我が家で凍らせたペットボトルの設置方法と温湿度低減効果について検証した結果、以下6つのことが分かりました。
- アクリルケージでおすすめの設置方法は、「ケージ底に置く」または「プラケースに入れる」
- 金網ケージでおすすめの設置方法は、「プラケースに入れる」
- これにより、ポーチ周辺温度を約28℃、湿度を50%以下にすることが可能
- アクリルケージ・金網ケージ、どちらも冷却・除湿効果は変らない
- 5時間前後で効果がなくなるので、交換する必要あり
- 部屋の気温が35℃以下であれば、凍らせたペットボトルは1本あればOK(場合によっては2本必要の可能性あり)
ここからは、僕がこの結論に至った過程を丁寧に説明していきます。興味あれば続けてご覧ください。
なぜペットボトルでケージを冷房・除湿できるのか?
今回紹介する方法は「凍らせたペットボトルをケージ内に入れて、フクモモポーチ周辺を冷房・除湿する」です。
冷たいものが中にあればケージの中を冷却できるのはイメージしやすいですが、除湿ができるのはイメージがつかない方もいるでしょう。
そこで、なぜ凍らせたペットボトルで冷房・除湿ができるのか、その原理について簡単に説明しますね。
温度が下がる原理は「熱伝達」
温度が高いものと低いものが触れると、熱が低い方に伝わります。
「熱伝達」と呼ばれるこの現象によって、高かった温度が下がるんですね。
だから、凍らせたペットボトルが周辺の空気を冷やす(=熱伝達)ため、空気の温度が下がります。
湿度が下がる原理は「結露」
湿度とは、空気中に存在する水蒸気の割合です。
湿度が高い状態というのは、空気中に存在する水蒸気が沢山ある状態、ということなんですね。
そして空気の温度が高いほど、水蒸気は沢山存在することができて、逆に温度が低いほど、存在できる水蒸気は少なくなります。
だから湿度が高い空気の温度が下がると、空気中の水蒸気の一部が水蒸気として存在できなくなるため、水滴として目に見えるようになるんですね。
この仕組みは、日常生活でも見ることができます。
例えば、みなさんは冬場、暖房をつけた室内の窓ガラスに水滴がつきませんか?
「結露」と呼ばれるこの現象は、室内の高い温度・高い湿度の空気が、冷たい窓ガラスに触れて冷やされることで、室内の水蒸気が水滴となって窓ガラスに付く、という原理なんです。
以上まとめると、凍らせたペットボトルで冷房・除湿ができる理由は以下の通り。
- 凍らせたペットボトルで空気の温度を下げることができるから
- 空気の温度を下げることで、空気中の水蒸気を減らし(=結露)、空気の湿度を下げることができるから
ペットボトルの冷房・除湿効果を実際に検証してみた!
理屈うんぬんはどうでもいいんだよ!ほんとに効果あったのかを教えろー!
…そんな皆さんの声が聞こえてきている気がするので、そろそろ本題に行きましょう。
凍らせたペットボトルで本当に冷房・除湿ができるのか、実際に我が家で徹底検証しました。
まずは検証に使用した物と、検証方法について説明していきます。
ペットボトルの冷房・除湿効果 検証に使用したもの
検証に使用した物について紹介します。
- ケージ
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我が家にはアクリルケージと金網ケージがあるので、このケージの違いで効果が変わるかについて検証しました。
- ペットボトルと布
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500mlのペットボトルを3本(ケージの数だけ)用意しました。
あとはペットボトルに巻くためハンカチや薄手のタオルも必要です。
- 温度・湿度計
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部屋の温湿度は、昔から持っていた測定器を使用。(上画像を参照)
古くて商品名はわからなかったんですが、一般的な温度・湿度計だと思います。
ケージ内の温湿度は、シュクレミディの温湿度計・クリアホワイトで測定。
見た目の大きさと色もシンプルで、測定精度は温度±1℃&湿度±5%と悪くないです。
何よりお値段安かったのでこれにしました笑
- プラケース
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- ペットボトル500mlがちょうど入って、かつ側面に穴が開いているもの
- ペットボトル500mlとポーチが入るくらいで、かつ穴が開いていないもの
この2種類を用意しました。(上画像を参照)
どちらも100均で売っていますよ!
ちなみに、すべての温度湿度計は事前に精度検証をしています。
同じ場所に計測器をおいて、同じ数値を示すか確認してみました。
結果はこちらの通り。
温度誤差1℃以内、湿度誤差5%以内なので、計測器に異常なしと判断しています。
ペットボトルの冷房・除湿効果 検証方法
実際に検証した方法について説明していきます。
- 部屋とケージ内に温度湿度計を設置し
- 室温30℃以上となる日に
- ペットボトルを色々なパターンで配置して
- 朝9時から1時間おきに記録
この検証結果を使って、温度湿度の改善効果を考察しました。
1時間おきに記録。
最後に、記録した結果を使って、温度湿度の改善効果を考察しました。
今回検証したペットボトルのレイアウトは全部で7つあるので、順番に説明していきますね。
案①
ペットボトルをケージ底に設置して、ポーチをその近くに設置しました。
検証の狙いは、りあちゃんパパさんと同じ結果になるかを確認することです。
ちなみにこれはアクリルケージでのみ検証してます。
金網ケージは底が金網でできているので、このやり方は試すことができませんでした。
案②
ペットボトルを金網上に設置して、ポーチをその近くに設置しました。
検証の狙いは、アクリルケージで金網を底に設置すると掃除がかなり楽になるので我が家は活用しているんですが、その上で凍らせたペットボトルを置くだけでも効果あるのかを確認したいとおもいます。
案③
ペットボトルをプラケース穴無しに入れて金網上に設置し、ポーチを近くに設置。
検証の狙いは、プラケースで冷気を保持することでポーチを効率的に冷やすことです。
案④
保冷剤をケージ底に設置して、ポーチを近くに設置。
引き出しの部分にペットボトルは入らなかったので、同じ容量でかつ薄い保冷剤を底に置いて効果があれば、設置も楽だしいいなぁと思って検証してみました。
案⑤
ペットボトルをケージ外上に設置して、ポーチを近くに設置。
冷たい空気は上から下に流れていくので、ケージの上に空いた穴から冷気を落としてポーチ周辺が冷えないかを検証しました。
案⑥
ペットボトルをプラケース穴無しに入れてケージ外上に設置し、ポーチを近くに設置。
検証の狙いは案⑤と同じですが、プラケースでペットボトルを覆うことでより冷気がポーチに流れるのではないかと期待して検証しました。
案⑦
ペットボトルをプラケース穴有りに入れてケージ内上に設置し、ポーチを近くに設置
検証の狙いは案⑥と同じですが、ケージの内側の分、より冷却効果が高いのではと考えて検証してみました。
以上7つのレイアウトでアクリルケージ・金網ケージでの冷房・除湿効果を検証してみました。
検証結果・考察
検証結果と考察について説明します。
こちらの表に検証結果をまとめました。
案①〜⑦が温度と湿度をそれぞれいくら低減したか?また低減効果がどれだけの時間発揮されたか?について記載しています。
なお低減効果の時間は、室内の温度・湿度に対して、ケージの温度が-2℃、湿度が-10%低減できた時間と定義しています。
こちらの結果を元に、考察を進めていきますね。
考察①:温度の低減効果と低減時間について
まずは、温度の低減効果と低減時間についてまとめたグラフを見てみましょう。
ここから分かるのは、以下の3点です。
- 案①・③が、非常に有効(金網ケージは③のみ)
- アクリルケージと金網ケージで、効果に明確な差はない
- 9時間前後で温度低減効果がなくなる(室温を28度以下にするためには5時間前後)
まず前提として、冷たい空気は下降するという性質があります。
案①と案③は、それぞれ冷気が下降したときに、ケージ底/プラケース内に溜まるようになっているので、温度低減効果と低減時間が優れているようです。
案⑥・⑦は、冷気が上からおちてくるので多少の温度低減効果がありますね。
また、アクリルケージと金網ケージの結果に明確な差異は見られませんでした。
これは意外な結果でしたね。
そして、温度低減-2℃を期待出来る時間は9~12時間と、比較的長いことがわかりました。
ただし室温が35℃近くなる日にケージ内を28℃にしようとすると、だいたい6時間くらいが限界ですね。
考察②:湿度の低減効果と低減時間について
次に湿度の低減効果と低減時間についてまとめたグラフを見てみましょう。
ここから分かるのは、以下の3点です。
- 案①・③が、非常に有効(金網ケージは③のみ)
- アクリルケージと金網ケージで、効果に明確な差はない
- 5時間前後で温度低減効果がなくなる
湿度についても前提として、乾いた空気は湿った空気よりも重く、下降する性質があります。
案①と案③は、それぞれ湿度の低い空気が下降したときに、ケージ底/プラケース内に溜まるようになっているので、温度低減効果と低減時間が優れているようです。
それ以外の案は、ほとんど効果ないですね。
また温度と同様に、湿度についても、アクリルケージと金網ケージの結果に明確な差異は見られませんでした。
そして、湿度低減-10%を期待出来る時間は4~6時間程度でした。
部屋の湿度が60%くらいであれば、4~6時間くらいは使えそうですね。
ちなみにペットボトルを放置しておくと、ケージ内の湿度が逆にあがる現象が発生しました。
おそらく結露した水滴が蒸発して空気に戻るので、結露した周辺の湿度が局所的に高くなってしまうのだと思います。
ですので、5時間くらいしたら一度ペットボトルは取り出した方がよさそうですね。
参考:ペットボトルの数を増やしたらどうなる?
あとは最後余談ですが、凍らせたペットボトルを2本使ったらどうなるか?についても検証してみました。
検証方法は、案①の設置方法で、アクリルケージにペットボトル1本と2本、それぞれ入れて違いを確認しました。
結果はこちらの通りで、冷却・除湿効果は2本分の方が高かったんです。
でもケージの温度が冷えすぎて24℃くらいになっていたんですね。
測定日の部屋の最高気温は35℃くらいだったので、そのくらいであればペットボトルは1本で十分だということが分かりました。
ただしもっと温度が高い状態だと、ペットボトル2本必要かなと思います。
参考:測定結果詳細について
参考に、各案の時間ごとの測定結果についてまとめたグラフをご紹介します。
まとめ
今回は、凍らせたペットボトルで本当に冷房・除湿ができるのか、実際に我が家で徹底検証しました。
今回の検証で分かったことは、以下の6点です。
- アクリルケージでおすすめの設置方法は、「ケージ底に置く」または「プラケースに入れる」
- 金網ケージでおすすめの設置方法は、「プラケースに入れる」
- これにより、ポーチ周辺温度を約28℃、湿度を50%以下にすることが可能
- アクリルケージ・金網ケージ、どちらも冷却・除湿効果は変らない
- 5時間前後で効果がなくなるので、交換する必要あり
- 部屋の気温が35℃以下であれば、凍らせたペットボトルは1本あればOK(場合によっては2本必要の可能性あり)
あくまで我が家で検証した結果ですが、みなさんのご家庭でも必要あれば活用してもらえると嬉しいです。
それでは、良いフクモモライフを〜。